徳島編その1

11月19日

朝5時50分私は家を出た。

この前旅に出た時とは違い、あたりはまだ薄暗い。

「それじゃ行ってくるよ」

と玄関の野良猫に別れを告げたのに、猫は私など無視して

朝飯を食べていた。

しかもこの前より子猫が三匹増えている。

猫の次は花の様子だ。

この前の旅から帰った直後に蒔いた花の種が芽を出し

本葉も見えて来た。

蒔いた花の種類は12くらい、しかし一本も芽の出ないのも

いくつかあった。

私の一番好きなデルフィニュームは今年は出なかった。

発芽温度の低い花であるので、もう一度蒔いても間に合う

とは思うが旅もあるし、執筆活動もあるので断念することにした。

何事も腹八分で満足しましょう。

苗の半分位はすでに花壇に定植し、後の半分位は花壇の欠けた

部分に植えなおしたり、近所におすそわけするためにポット

に移した。

 

 

蒔いても芽の出ない種、私に言わせれば種が悪いのだと思う。

しかし種苗会社に言わせればあなたの水やりが悪いからだと言う。

いや私は毎日水をかけていると言い、種苗会社はかけてないと言う。

ここから出来た言葉に水掛け論というのがあります。

もっとも林修なら打ち水が通行人にかかり、かけた、かかって

ないの争いが語源だと断言するだろう。

こんなものは支持者の多い方が正論となるので100年後には

私の説が大手を振って闊歩してるかも知れない。

えっ、私が林修を目の敵にしてるって・・・・そんなことないですよ。

だって私、修ちゃんのこと大好きですもの。

勉強馬鹿って言いましたけど馬鹿って褒め言葉なんですよ。

野球馬鹿、競馬馬鹿、鉄道馬鹿、脇目も振らずに一心不乱

に取り組む姿、ある意味私は尊敬します。

挙句の果てに、馬も鹿も見分けがつかないほどに疲れ切ってしまう。

 

突「馬鹿って、そういう意味だったんですか」

 

いや、知らない、適当なことを言っただけ。

でも100年後には私の説が正論となっているかも知れない。

一応全部の花の水やりも終え、私は我が家を後にした。

猫とか花とか、旅とは相容れない趣味を持つので苦労しますが

今回は姉に水やり、餌やりをお願いしてあるので安心して

旅に出られます。

 

突「いい加減敷地を出ないか。6時25分の電車に乗り遅れるぞ」

 

例によって突っ込みが怒っていますので、名鉄○○線○○駅に

向かいます。

また駅に着くまで猫にまつわる話なんぞさせて頂きます。

 

日本の古い動揺「雪」の一節に「ねこはこたつでまるくなる」

というのがあります。

猫というのはお腹の毛が少ない動物であります。

なので冬はここから寒気に体温を奪われます。

ゆえに猫はまるくなりお腹を覆い体温の放散を防ぎます。

しかし夏は暑いのでこの逆です。

つまり出来るだけお腹を露出して熱の発散に努めます。

よく、ダラーっと延びて寝てますよね。

さて問題はここからです。

炬燵の中は冬ですか、夏ですか。

そう気が付きましたね。

炬燵の中は熱い、猫も長くなって寝ていますよね。

そう、結論、いーぬはよろこびにわかけまわりねーこは

こたつでながくなる。

フックンを飼って学んだ事の一つです。

きっと作者は猫の生態を知らなかったんでしょうね。

それとも昔の炬燵だから寒かったのかも知れませんね。

作者の遺族を敵に回したくないので一応フォローしときます。

 

 

ジャーン、話は変わりますが、これは天皇賞の馬券です。

またしても競馬の話になって申し訳ない。

まして人生で三回くらいしか的中させたことのないへっぽこの

諸君を怒らせることになってしまうのは、とても快感だ。

当然この馬券は的中馬券です。

五番人気までを蹴った、ワイドボックス馬券である。

購入額は私としては多めの2万円。

競馬を知ってる人がこの馬券を出走前に見たら

「あー、可哀想に、お金をナイアガラの滝に捨てるようなものだ」

と言うだろう。

どぶではありませんよ、どぶだと後から拾いに行きますからね。

しかし私は以前に言った筈だ、購入額は自信の度合いを表すと。

この金額が私の自信を如実に表しています。

購入額2万円に対し払戻金は4620円×20=92400円で

純利益は72400円です。

これで次のお遍路の旅費の大部分を稼ぐことが出来た。

当てるコツを知りたくありませんか。

一言で言えば競馬は物を正しく見る目があれば当たります。

あなたは馬券を馬の好き嫌いで買っていませんか。

或いは配当を見て買ってはいませんか。

私の知り合いの一人は出馬表を見て1分以内で結論を出します。

勿論この人が当たったという話は聞いたことがありません。

私に言わせれば競馬の楽しみの半分は推理する歓びだと思います。

大枚のお金をはたいて馬券を買うのであるから1週間楽しま

なければ勿体ないと思わないのでしょうかね。

私がその話をすると、自分の金で自分の好きな馬を買って

何が悪いんだと悪態をつく。

別に悪くはないけど、きっとその人トイレに入って泣いている

と思いますよ。

推理を楽しみ、的中して狂喜し、結果を見て反省し次走への

参考とする。

同じ競馬をするなら100倍楽しまなければ。

しらかば、失礼、しからばどのように研究して馬の能力を

見極めるのかと言えばこれが大変難しい。

とうとうと語れば、一冊の単行本くらいになってしまうので

機会をみて少しづつ説明していきたいと思います。

大川慶次郎は「競馬の神様」と言われた。

しろひ猫もせめて「競馬の仏様」ぐらいは言われたい。

「チーーーーーーン」

ちなみに今年最大のクリーンヒットは安田記念でした。

 

 

クラレントからワイドでモーリス1000円、ヴァンセンヌ3000円、

フィエロに1000円、5000円の元手で16万以上儲けました。

あ、自慢じゃないんですよ、事実をありのままに語っている

だけなんですよ。

馬鹿正直な性格なもんで本当にすいません。

 

突「究極のイヤミだな」

 

私、円楽さんと同じで友達が一人もいないんですよ。ヒヒヒ。

 

なんやかやと言ってるうちに駅に着いた。

鉄道マニアなら、もうとっくにこの駅の正体は時刻表あるいは

全体の流れの中から察しはついているはずだ。

少なくもこの、しろひ猫に関心のある人がいればという

条件はつくが。

とにかく愛知県と言ったら名鉄です。

この前より一本遅い6時25分発の電車に乗った。

車内はすでに暖房が入っている。

あたりもやっと明るくなってきたと言う感じで目の前に

うっすらと田園風景が広がっている。

これからは暗い内から動き出し、暗くなってもまだ動いてる

お遍路になるだろう。

朝はきっと寒いだろうからと手袋とニットの帽子とネック

ウォーマーも持参した。

乗客はこの前ほど多くはないが、それでも立ち乗客がちらほら

と見える。

季節のせいかマスクをした人がひとり、ふたり、・・・・8人いた。

特に女子高生に多い。

きっと私と同じで顔が悪いのでマスクで隠しているのであろう。

おっとっと、ここで私はマスクをした女子高生を敵に回してしまった。

物言うたびに敵が多くなっていく。

どうりで友達が出来ないわけだ。

 

今回もクイズを出題いたしました。

この旅がお遍路の旅であることは先回、白日の下にさらされました。

それで今回は3日目の最初に訪ねるお寺はどこでしょうか、という

設問をさせて頂きました。

前回23のお寺を廻り、残りは65です。

正解の確率は1/65です。

今回はキャリーオーバーもございますので賞金は20億円とさせて

いただきます。

が、タイトルにもございますように今回のターゲットが徳島で

あることから213名の応募者のうちすでに166名が脱落したことに

なります。

すみませんね、スタートと同時に落馬した馬の馬券を買わせたみたいで。。

 

名古屋駅に着き、私はいつものようにJR名古屋駅の切符売り場へ

寄った。

「徳島経由鴨島行きの切符を下さい」

「えっ、鹿児島ですか」

ほほう、面白いことを言うじゃないか。

確かに物理的に徳島経由で鹿児島に行けないことはない。

ただしその場合もっと経由地の名を挙げていかなければならない。

例えば池田経由、多度津経由、宇多津経由、岡山経由・・・・。

それも瀬戸大橋線のような重複する道を一本の道としてみなして

くれた場合に限る。

が、JRはそれは一般的には認めていないはずだ。

普通この場合徳島までの切符を買い、あらためて徳島から鹿児島

までの切符を買うのが正式な切符の購入方法だと思う。

いつだったかNHKの番組で関口知宏さんが日本一周の旅をしている

時の切符を披露したことがあったから不可能ではないと思うが、

一般的には無理だと思う。

担当者は若い人で、この業務の経験が浅そうだった。

その証拠に私一人の応対が終わる間に二つ隣の若い女性職員は

五人の客をさばいていたことからもわかる。

一応なんとか切符と特急券を購入し新幹線17番ホームに立ち

7時54分発の「のぞみ」を待った。

当然自由席である。

私は指定席とも言うべき3号車の3Eに陣取った。

座席は瞬く間に乗客で埋まり、立ち乗客もかなりの数に達した。

平日だと言うのに、休日のこの前よりも混んでいた。

案外新幹線というのは平日の方がビジネス客で混雑する

ものかも知れない。

アタッシュケースのスーツ姿の若い人が多かったことからも

うかがい知れる。

あぶれた乗客は大方がデッキで過ごす。

乗務員や車内販売の通行の妨げになるからだ。

しかし私はここでこの3号車前部に問題点を発見した。

混むとデッキに、立ち乗客がひしめき合う。

するといつもドアが開きっぱなしになる。

そして3号車と2号車の間に喫煙ルームがあり、そこから煙草の

匂いがしてくることだ。

もっとひどい目に遭っている立ち乗客の皆さんには申し訳ないが

今度から3号車後部に座席を変えようと思う。

頻繁に喫煙室に向かう乗客も気にかかるし。

混雑状況は変わらぬまま9時半岡山に到着した。

9時54分発のマリンライナーまでたっぷり時間があるので

ゆっくり移動できる。

しかしやはり平日だ、新幹線の中は混んでいたが、普段観光客の

多いこういう駅に来ると極端に乗客の数は減る。

マリンライナーに乗るのはこれが初めてである。

というよりも松山方面以外に行くのは初めてなので児島から

先で宇多津と坂出に分岐していることも初めて知った。

鉄道マニアを名乗っていた自分が恥ずかしくなる。

車内は混んでいた。

これで一時間に2本の運行だから1日当たりかなりの乗客の数だ。

やがて快速マリンライナーは四国に上陸し、徐々にその向きを

左へと向けた。

さあ、いよいよお遍路の旅が始まる。

たくさんの困難がたちはだかるかも知れないが、路線バス、

コミュニティーバス、タクシー、馬車、牛車、レンタカー、

レンタサイクル、を使ってなんとか目的を達成するぞ。

場合によっては橋のない吉野川を泳いで渡る覚悟も出来ている。

 

突「泳げるんですか」

 

あっ、そう言えば私はカナヅチであった。

でもいい、私は吉野川の大河を横切る野牛の大群の背に乗って

でも目的は果たすつもりだ。

これが本当の対岸成就なんちゃって。

 

突「アフリカのサファリパークじゃあるまいし、そんなもの

いません。第一その言葉ある意味徳島を揶揄していませんか。

徳島県ならびに徳島県民を敵に回すと・・・・とくしません」

 

このブログの中で突っ込みが最長のセリフを吐きました。

長いこと新幹線の中で黙っていると思ったら、ははーん、

こんなことを考えていたんだな、おもろいやないか、腕を

上げたなーちっちきちー。

パクリとは人様の知らないネタを、あたかも自分のネタで

あるかのように披露するものである。

上記のようなものは、さらに上記のネタを面白くするための

引用であり、パクリにはあたらない。

したがって誰からも非難される筋合いのものではない。

 

突「非難する、しないは読者の自由だ」

 

すみません。

10時51分高松着、3番線ホームに廻り「うずしお9号」を待った。

「うずしお9号」はすぐにやって来て、わたしは列車に飛び乗った。

列車というにはみすぼらしい二輌編成であった。

となりの4番ホームにはこの車輌より車高の高い列車が止まっていた。

今は懐かしい観音寺行きの「サンポート南風リレー号」である。

その時私は「うずしお9号」が小刻みに振動しているのを感じた。

この振動といい、車高の低さといい、恥ずかしながらこの時初めて

「うずしお9号」が気動車であることに気づいた。

 

突「いいんだよ。誰でも最初は知らないんだから。一つづつ

学んでやがてオーソリティになればいいんですよ」

 

突っ込み、お前はなんていい奴なんだ。

私は、突っ込みを抱きしめ、キッスの雨をふらせた。

すいません、明日精神病院へ行ってきます。

 

11時7分「うずしお9号」は動き出した。

空は鉛色の雲が立ち込めていた。

乗客も二輌編成だと言うのにまばらで、まるで空模様の

ように暗い雰囲気だった。

向こう5日間の天気は私を喜ばせるようなものではないが、

傘マークは5日目だけである。

なんとかもってほしいものだ。

アーメン、じゃなくてハレルヤ。

「うずしお9号」は田園を抜け、田園を横切り、そして田園を

下り板野駅に到着した。

正午まであと2分である。

つづく